1998.6.16
10年前、君はこの世に生まれた そして僕たち夫婦は親になった 親になった喜びやとまどいもつかの間 君は大きな病院に運び込まれ 生死の間をさまよった 君の毎日に僕たちは一喜一憂した 同時に生命の持つたくましさと 素晴らしさを教えてもらった そうした僕たちの気持ちを 決して知ることもなく君は育ってきた いや、知らないからこそ 君の存在はかけがえのないものだったのだ あれから10年の時がたつ 泣く力もなかった君が、よく泣くようになった。 たくさん笑った 大人をからかうことも覚えた 一人前に口答えをするようになった 君が生まれたことによって与えられた喜びを なにに感謝すればいいのだろう・・・・ ・・・・ これから先の10年 自分は一人であるということを君は知るだろう 次々と襲いかかる問いかけに対して 自分で答えを出していかねばならないだろう そして僕たちが何の力にもならないということを いやというほど味わうだろう 僕たちには見守ることしかできない苦しみが 待ち受けているだけだ ・・・・ 僕たちがそうだったように やがて君も 育てる世代になるだろう しかし、いつまでたっても 僕たちは君の親であり続けよう・・・・
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