埼玉県所沢高校の入学式をめぐって

所沢高校に関することについては、下記ホームページが非常に参考になります。

  「所沢高校 Non-Official Page」
  たくさんの資料を一括してダウンロードもできます。
   http://www.jca.ax.apc.org/~teru-iri/tokoko0index.html

  所沢高校の卒業生の方のHPです。
   http://plaza12.mbn.or.jp/~masato_i/index.html
背景
 埼玉県の所沢高校は、10年ほど前から、文化祭や入学式や卒業式などの行事をが生徒会が中心となって行うようになってきた。ところが、昨年の春に赴任した現在の校長は、様子が変わってきた。
 (あるTVで赴任した年の何らかの式で、校長がいきなり、「君が代」のカセットテープを流した光景が放映されました。
 詳細をご存じの方は教えて下さい)
 「卒業式は厳粛な式を」と、生徒達との話は平行線のままであった。
 結局、卒業式には、423名中400名が式をボイコットした
 更に入学式の在り方についても、話し合いはつかないまま、校長・県教委の名前での「入学許可候補者の皆様へ」という文書が新入生の自宅に発送された。このことが問題になり、新聞に取り上げられた。(僕はこのニュースで知った)
 驚いたPTAや教職員は抗議をしたけれど、結論は出ないまま入学式を迎えた。

「式に出なければ、入学を許可しない・・・・」
 僕自身の限られた経験からだが、「入学許可候補者」などという呼び方にまず驚いた。
 合格した受験生には、「合格通知」が送られるが、その時には、「・・・・期日以内に所定の手続き(ま、入学金とかの振り込みですな)が行われない場合は、入学を辞退したものとみなします・・・・」などという一文はあったりもする。
 でも、「所定の手続き」等が終わった後は、入学者の数は「確定」とされ、以後は「新入学生の皆様へ」となる。
 確かに、入学式の時に学校長による「○○以下何名、本校への入学を許可する」ということはやったりする。
 けれど、「入学式を欠席したら入学を取りしもあり得る」ととれるような文書自体は初めて聞いた。
 文部省や、県教委、校長は「学習指導要領」というものをよりどころにしているけれど、「国旗掲揚、国歌斉唱」は明記されているし、「儀式的行事における生徒への教育的指導」というものは書かれてはいるけれど、何か釈然としないものが感じられるのは僕だけ?
 いきなり、新入生にあのような文書を送りつけることが「教育的指導」なの?

「教育的配慮から、全員の入学を許可します」
 結局、新入生の4割が学校長の主催する「入学式」を欠席した。生徒会が主催する「入学を祝う会」にはほぼ全員が出席、ということになった。
 入学式の席上、校長は、「教育的配慮から、全員の入学を許可する」と言った。
 この「教育的配慮」という言葉や「指導」という言葉に僕は嫌悪感すら覚えてしまう。
 「子どもは未熟だから、引っ張り上げねばならない」という高いところから見下ろした考え方に根ざしているような。
 学校というのは、ホント「指導」が好きなところだな、と改めて感じたりもしますが、これはまた別の話か・・・・?

「気に入らないからボイコットするなどというのは民主主義に反する」
 入学式の翌日、(4月10日)、町村文部大臣の発言がTVで報道された。
 一方、文部省のHPには、先のナイフによる殺傷事件の後、「もっと対話を」と言った緊急アピールが掲載されている。
 「もっと対話を!」と言うことが一番必要なのは、校長自身じゃなかったのか、と思ってしまう。
 こうして、生徒達は、大人や「教育者」に対する不信感を募らせていくんだろう。

思うに・・・・。
1、誰のための入学式?
あんな文章を送りつけなければ、大々的に報じられることもなく、こんなに大事にならなかったのでは?
大切なことは形式ではなく、新しい学校生活をスタートさせる新入生を「暖かく迎える」ということが出発点だと思うのだが・・・・?

2、儀式の大切さ
 しきりに「儀式の重要性」と言うことが校長の口から強調されている。この世には古くから伝わる伝統形式、人生経験を積んでいく中でわかってくるものもあるとは思う。
 しかし、「儀式の重要性云々」と「生徒と話し合いを積み上げる」こととは全くの別問題ではなかろうか?
 たとえ遅々とした歩みであってもいいから、一つ一つ理解を積み上げていくことのほうが「教育的」ではないの?

3、所沢高校は素晴らしい!
 最近、学校教育をめぐっては悲惨な事件ばかりが報道される中で、所沢高校の生徒達の話を聞いたとき、正直、自分たちでここまで企画し、自分たちの主張をはっきり言える生徒達がいるんだ、と嬉しくなった。
 彼らは、「話し合い」を求めているのであって、余分なトラブルなどを望んでいるようには思えない。
 そうした彼らの思いに真正面からぶつかれない、校長は教育者として失格だと僕は思っている。

4、他にも・・・・
その他にも、色々思うところはあるけれど、皆さんからのご意見・ご批判をお待ちします。