スーダン共和国では長びく内戦と干ばつのため全域が飢餓状態におちいり、とくに南部地域は深刻な状態となっている。国際的なボランティア団体「国境なき医師団」の1998年7月末の発表によると、1日当たりの死者の数が120人をこえる地域もあり、栄養失調とみなされる人の割合も55%前後にのぼる。
国連機関の世界食糧計画(WFP)など、いくつかの組織が食糧支援にあたっているが、内戦にはばまれて、援助の必要な地域すべてに食糧を供給することが困難になっている。
アフリカ大陸の北東部に位置するスーダンは、長年にわたって周期的な食糧不足にみまわれている。干ばつなどの気象条件も大きな要因だが、イスラム系の政府と南部を拠点とする非イスラム系の反政府勢力の内戦が長びいているため、状況はさらに悪化している。
南部の自治確立をめざす反政府派は、スーダン人民解放軍(SPLA)をはじめ、キリスト教系や伝統的な信仰を保持するグループなどからなる。
内戦のために住民の多くが居住地をおわれ、農耕や牧畜がたちゆかなくなっている。紛争の当事者は双方とも、相手方の食糧の補給路を断つなどの攻撃手段をとっている。
WFPによれば、スーダン国内で支援を必要とする人は260万人にのぼるという。
8月の支援食糧は、月間目標の1万5000tをうわまわる1万6000t余に達したが、一方で問題も山積している。輸送を担当する人員や輸送車への襲撃、悪路や干あがった川といった輸送面での障害にはばまれることなどのほか、コスト面の問題もある。WFPの発表によれば、99年4月まで支援活動をつづけるには1億6500万ドルが必要だという。
98年7月、アメリカ下院で証言したWFPのバーティニ事務局長は、内戦によって飢餓が悪化したと指摘し、「銃をもつ者は常に飽食している。この飢餓をおわらせるには、内戦を終結させるしかない」と述べた。過去に何度か、政府と反政府勢力の間で停戦および和平交渉の試みがなされたが、成果はほとんどあがっていない。戦闘がはじまったのは83年で、この内戦と飢餓によって、これまでに1500万もの人命が犠牲になっている。
世界食糧計画(WFP)の公式サイトWorld Food Programmeでは、スーダンでの活動状況Sudanおよびバーティニの発言Statement
of Catherine A.Bertiniなどを提供している。
「国境なき医師団」のサイトMEDECINS SANS FRONTIERESでは、スーダンをはじめとする各国での活動状況に関する情報を提供している。
民間団体のアメリカ難民委員会U.S.COMMITTEE
FOR REFUGEESも、スーダンへの支援活動CRISIS
IN SUDANに参加している。
赤十字国際委員会International Committee
of the Red Cross(ICRC)は、スーダンでの活動に関する情報ICRC
operations in Sudanを提供している。