現代のイスラム世界にイスラムを復興させようという「イスラム復興運動」の俗称。
現世界は本来あるべき姿ではない、との自覚から生まれた自己革新運動である。
20世紀後半から顕著になってきたが、その流れは18世紀のワッハーブ運動にまでさかのぼることができる(→
ワッハーブ派)。
主張としては、イスラム共同体の理想(そのとらえ方はさまざまである)を回復し、イスラム法(シャリーア)の実施をもとめる傾向にある。
イスラム復興の理念は、19世紀後半、イスラム世界の植民地化がすすむ中で生まれ、主唱者としてはジャマールッディーン・アフガーニーをあげることができる。
彼の理念は、弟子のムハンマド・アブドゥフにうけつがれ、イスラム改革思想として確立した。アブドゥフは、「本来のイスラムにもどれば文明を復興できる」とイスラムの正統性・有効性を再確立し、この思想は全イスラム世界にひろまった。
運動の形態はさまざまで、1979年のイラン革命や、81年のサーダート大統領の暗殺など、急進的・テロ的な運動に焦点があてられがちであるが、学校やモスクの建設、ボランティアの増進など穏健な運動もおこっている。
前者は一部の過激派の手によるものであるのに対し、後者はイスラム教徒全般に浸透しており、運動の主流はむしろ後者の穏健な路線であるといえる。